使ったら消えるお小遣いを「2回使う」裏ワザ?ハイリスク投資信託のリアル

マネックス証券
そのお小遣い2度生かしませんか? ~あえてハイリスクを選ぶ投資~ ボーナス投資3年間でシミュレーション

以前の記事で、投資とは「お金に働いてもらう仕組み」だとお伝えしました。今回はその仕組みを、より効率的に資産形成へつなげる考え方を整理していきます。

→ 以前の記事:投資とは?未経験でもわかる|超シンプルな仕組み

趣味やストレス発散のために使うお金は、使えばそのまま消えていきます。でも、どうせ使ってしまう予定のお金だからこそ、あえてハイリスク・ハイリターンな投資信託に振り向けて、そこから生まれる分配金をお小遣いにする、という選択肢もあります。

ただし、ハイリスクであることも忘れてはいけません。この記事では、実在する毎月分配型ファンドの公表データをもとに、ボーナス30万円を年2回・3年間投資したケースを4つのシナリオ(楽観・中立・緩やかな下落・リーマン級の急落)でシミュレーションし、「本当に警戒すべき下落パターンはどれか」「早めに気づくにはどこを見ればいいか」を具体的な数字で確認しつつ、「2度おいしい」お小遣い投資について解説しています。

資産を増やす2つの方法

資産を増やす方法は、大きく分けて2つです。

  • キャピタルゲイン:株や投資信託を安く買って高く売ることで得る売買差益(デイトレードや、つみたてNISAでの値上がり益もここに含まれます)
  • インカムゲイン:株の配当金や、投資信託の分配金のように、保有し続けることで定期的に受け取れる収益

→ インカムゲインとキャピタルゲインについては、下記の記事で詳しく説明しています。

【2026年7月】インカムゲインとキャピタルゲインの違いをやさしく解説

この記事では、インカムゲインとキャピタルゲインの違いを、ゆるく・やさしく解説しています。投資の基礎を理解する第一歩として活用してください。 導入:まずは“2つの利益”を理解しよう 投資の2大収益源 投資の2大収益源 2つ […...

【2026年7月】インカムゲインとキャピタルゲインの違いをやさしく解説

収入源と支出を整理する

資産形成を考えるうえでの収入源は、上記のキャピタルゲイン・インカムゲインに、給与などの労働収入を加えたものが基本になります(競馬や宝くじの当選金は再現性がないため、ここでは扱いません)。

一方で支出は、2つの軸で整理すると考えやすくなります。

分類軸種類内容
金額の変わり方固定費家賃、通信費、保険料、サブスク月額料金など、毎月ほぼ同じ額が出ていく支出
変動費食費、水道光熱費、日用品費、交際費、娯楽費など、月によって金額が変わる支出
お金の使い方の意味消費生活に必要なモノやサービスを買うお金(家賃、日々の食費など)
浪費使い道がなくもったいない、または必要以上に贅沢なお金
投資将来のためにお金を増やす、あるいは自分のスキルや学びに使うお金

この中でとくに見直したいのが、「変動費」かつ「浪費」に当たる支出です。趣味やストレス発散のためのお小遣いは、使えばそのままなくなってしまいます(生活や心が満たされるという価値はもちろんありますが)。

「増えた分だけを使う」という発想

すでにiDeCoやNISAで積立を行い、個別株投資もしていて、生活に少し余裕が出てきた——そんな段階になると、「趣味には気兼ねなくお金を使いたい」と誰もが考えます。

そこで一つの選択肢になるのが、「どうせ使ってしまう予定のお金だからこそ、あえてハイリスク・ハイリターンを選ぶ」という考え方です。生活費や積立投資に回すお金であれば守りを重視すべきですが、もともと趣味やお小遣いに消えていくはずだったお金なら、値動きの大きい投資信託にあえて振り向けてみる、という発想が成り立ちます。

実際、直近の相場環境(後述するWCM世界成長株厳選ファンドのようなグロース株中心のアクティブファンドの実績)を見る限り、ここ数年は「リスクを取ったことで得られたメリット」の方が「リスクが顕在化して被った痛み」より大きく感じられる局面が続いてきました。ただしこれは、あくまで直近の結果であって将来も続く保証ではありません。ハイリスクを選ぶなら、下落したときに自分がどれくらいの痛手を負うのかを先に把握し、「気づいたときに引き返せる」状態を作っておくことが欠かせません。この記事では、その下落時のイメージと、早めに気づくためのチェックポイントを具体的な数字で示していきます。

なお、「分配金を受け取っても元本は減らない」という言い方をよく見かけますが、これは運用が好調な間だけ成り立つ話であって、保証されたものではありません。ここを曖昧にすると、思わぬ形で元本を取り崩してしまう可能性があるため、次の章で仕組みを整理します。

用語の整理:普通分配金と特別分配金

毎月分配型の投資信託を検討するときに欠かせないのが、この2つの違いです。

  • 普通分配金:運用でプラスになった値上がり益の中から支払われる分配金。税制上も「利益」として扱われます。
  • 特別分配金(元本払戻金):運用の値上がり益を超えて支払われる分配金。実質的には自分が預けた元本の一部が払い戻されているだけで、資産が増えているわけではありません。いわゆる「タコ足配当」と呼ばれる状態です。

どちらが支払われているかは、基準価額が個別元本(自分が買ったときの価格)を上回っているか下回っているかで決まります。つまり「分配金を使っても元本は残る」が成立するのは、基準価額が下がらずに済んでいる間だけ、ということになります。

具体例で考える:毎月分配型ファンドのケース

具体的なイメージを持つために、実在する毎月分配型ファンドの一つ、「WCM世界成長株厳選ファンド(予想分配金提示型)」(愛称:ネクスト・ジェネレーション)の公表データを見てみます(2026年7月時点の各種情報サイトより)。

項目内容
基準価額13,013円(2026年7月16日時点)
信託報酬(税込・年率)1.958%(同カテゴリー平均は0.88%程度とされる)
購入時手数料上限3.30%だが、ネット証券では無料の場合が多い
直近1年間の分配金利回り約35%(1万口あたり年間分配金÷基準価額で算出)
設定来の分配ゼロ期間設定(2021年10月)から約2年3か月は分配金ゼロ
直近の月次分配金1万口あたりおおむね300〜400円で推移(2025〜2026年)

このファンドの分配金利回り約35%という数字だけを見ると非常に魅力的ですが、この数字はあくまで「直近1年間の運用成績が好調だったこと」に支えられています。信託報酬が年1.958%とカテゴリー平均より高めである点、そして値動きの大きさ(標準偏差がカテゴリー平均を上回る)も踏まえておく必要があります。また、この「予想分配金提示型」はNISA成長投資枠の対象外で、分配金は課税口座での受け取りになる点も見落としがちなポイントです(NISA対象なのは分配を抑えた姉妹ファンド「資産成長型」のみです)。

シミュレーション:ボーナス30万円×年2回を3年間投資したら

では実際に、夏・冬のボーナスからそれぞれ30万円ずつ(年60万円、3年間で元本累計180万円)をこのタイプのファンドに投資し、分配金は再投資せずお小遣いとして受け取り続けた場合を、4つのシナリオでシミュレーションしてみます。数字は上記の実データを出発点にした仮定の試算であり、将来の運用成果を約束するものではありません。

  • 楽観:直近のような高い運用成績(年率+40%程度)と、高水準の分配(年率30%相当)が続くと仮定
  • 中立:世界の成長株ファンドの長期平均に近い水準(年率+8%程度)まで運用成績が正常化し、分配率も年15%相当に見直されると仮定
  • 緩やかな下落:これといった暴落のイベントはなく、相場が緩やかに軟調(年率-5%)に転じても分配額はほぼ据え置かれる、というケース
  • 急落(リーマン級):投資開始から半年後に、リーマンショック級の急落(単月で-40%)が一度だけ起こり、その後は平常の成長ペース(年率+5%程度)に戻ると仮定
毎月分配型ファンドのシミュレーション:基準価額の推移と、評価額+累計お小遣い-投資元本で計算した真の損益の推移を4シナリオ・3年間で比較したグラフ
毎月分配型ファンドのシミュレーション:
基準価額の推移と、評価額+累計お小遣い-投資元本で計算した
真の損益の推移を4シナリオ・3年間で比較したグラフ

※このシミュレーションでは、いずれのシナリオも「分配の割合(基準価額に対する年率換算の分配率)」を運用成績にかかわらず据え置いたまま計算しています。実際のファンドでは、運用が悪化すれば分配額そのものが引き下げられたり、分配が見送られたりすることも十分あり得ます。つまり「緩やかな下落」「急落」の2シナリオは、あえて分配方針が据え置かれた場合の最大級の目減りイメージを示すための試算であり、実際にはここまで悪化する前に分配額が調整される可能性がある、という点は割り引いて見てください。

ここで大事なのは、「評価額」だけを見ないことです。分配金として受け取ったお小遣いも自分の手元に残っているお金なので、本当の損益は次の式で考える必要があります。

真の損益 = 評価額(時価) + 累計で受け取ったお小遣い(分配金) - 投資した元本の累計

シナリオ3年後の評価額3年間の累計お小遣い元本累計真の損益
楽観約190万円約75万円180万円+約85万円
中立約164万円約34万円+約17万円
緩やかな下落約117万円約54万円▲約9万円
急落(リーマン級)約148万円約29万円▲約3万円

年ごとの「毎月のお小遣い」はどう変わるか

真の損益とは別に、「その時点で毎月いくらもらえているか」も気になるところです。各シナリオで、1年後・2年後・3年後それぞれの時点における、その月の分配金(お小遣い)の目安をまとめました。

シナリオ1年後2年後3年後
楽観約15,000円約31,000円約47,000円
中立約7,000円約14,000円約21,000円
緩やかな下落約14,000円約23,000円約30,000円
急落(リーマン級)約6,000円約13,000円約19,000円

3年間投資を続けると、シナリオによって差はあるものの、180万円の投資で月々のお小遣いはおおむね2万円台〜5万円弱の範囲に収まってきます。ここで一区切りとして立ち止まり、このまま続けるか、方針を見直すかを考えるタイミングにするのも一つの手です(詳しくは後述します)。

この表を見ると、少し怖い事実に気づきます。「緩やかな下落」シナリオの月々のお小遣いは、5年間を通してずっと右肩上がりで増え続け、5年後には「中立」シナリオを上回っています。基準価額は5年間でおよそ4分の1近くまで下がっているにもかかわらず、です。

理由は単純で、ボーナスのたびに口数が積み上がっていくため、1口あたりの分配額(基準価額に対する分配率)が変わらなくても、口数が増えた分だけ受け取る総額は増えていくからです。つまり「毎月のお小遣いが順調に増えている」という体感だけでは、元本がじわじわ削られていることにまったく気づけません。先ほどの「真の損益」の表と合わせて見て初めて、このシナリオが実は一番危険であることが分かります。月々の金額の増減だけで安心・不安を判断せず、基準価額や個別元本との比較も定期的に行う必要がある、という点を裏付ける結果になりました。ここを、「どうせ使ってしまう予定のお金なので」と、どこまで割り切れるか(リスクをとれるか)がポイントです。

※なぜ基準価額が下がり続けているのに月々のお小遣いが増えるのか、仕組みを補足します。このシミュレーションでは分配金を「基準価額×分配率」で計算しているため、実質的には評価額(基準価額×口数)に連動しています。「緩やかな下落」シナリオでは、ボーナスのたびに安くなった基準価額でより多くの口数を買えるため、口数の増え方が基準価額の下落ペースを上回り、評価額そのものは増え続けます。その結果、分配金も名目上は増え続けます。実際のファンドは「1万口あたり◯◯円」という円建てで分配額を決め、基準価額が大きく下がればその金額自体を引き下げることが多いため、現実にはここまで単純に増え続けるとは限りません。あくまで、分配額の見直しが行われなかった場合の目安として見てください。

一方「急落」シナリオは、最初の1年は急落の影響で月々のお小遣いが4シナリオ中もっとも少なくなりますが、その後は積立とゆるやかな回復によって着実に増え、3年後には「中立」に近い水準まで追いついています。急落直後は不安になりやすい局面ですが、積立を続けていれば時間とともに持ち直していく可能性がある、という点も読み取れます。

この下落は「よくあること」か、「リーマン級でないと起きない」ことか

表の一番下の2行を見比べると、直感に反する結果になっています。単月で40%も基準価額が急落する「リーマン級」のシナリオ(▲約3万円)より、これといった暴落もなく緩やかに下がり続けるだけの「緩やかな下落」シナリオ(▲約9万円)の方が、3年後の真の損益は悪化しています。

理由は2つあります。1つ目は、急落シナリオでは暴落直後の安い基準価額のタイミングでもボーナスからの積立が続くため、結果的に多くの口数を安値で仕込めること(ドルコスト平均法の効果)。2つ目は、急落は「一度きりの出来事」であるのに対し、緩やかな下落は3年間ずっと基準価額を削り続ける点です。分配額を据え置いたまま基準価額だけがじわじわ下がる状態は、相場の暴落というニュースになるような出来事がなくても、運用実績が平均的な水準まで落ち着くだけで起こり得ます。つまり「▲9万円」という結果は、リーマンショックのような有事でなくても、成長株ファンドの人気が一巡して資金流入が落ち着き、分配方針だけが据え置かれる、という比較的よくある展開でも起こり得る規模の損失だと考えられます。急落シナリオでさえ▲3万円で済んでいる点も踏まえると、「分かりやすい暴落」自体は、積立を続けている限りそれほど致命的にはならないケースが多い、とも言えそうです。

言い換えると、警戒すべきなのは「暴落」という分かりやすいニュースよりも、基準価額が地味に下がり続けているのに分配金額だけは変わらない、という気づきにくい変化の方だということです。次の章で、この変化にどう気づき、どう対処するかを整理します。

では、それぞれどれくらいの頻度で起こり得るのでしょうか。参考になる過去のデータを見てみます。米国のS&P500種指数が高値から20%を超えて下落する「弱気相場」入りは、1970年以降で数えるとおよそ7回起きており、単純計算で7〜8年に1度程度のペースです。一方、リーマンショックやITバブル崩壊のように40%前後まで落ち込む規模の暴落は、この中でもさらに数えるほどしかなく、10〜15年に1度あるかどうかという、より稀な部類に入ります。しかも下落から高値を回復するまでには、過去の実績を平均するとおよそ5年程度を要しており、回復にも相応の時間がかかります。

これに対して「緩やかな下落」シナリオのように、暴落というニュースを伴わずに数年単位で成績が振るわない展開は、明確な統計として頻度化しにくいものの、グロース株中心の運用スタイルが市場の流行から外れる局面(ITバブル崩壊後の数年間や、2022年前後の金利上昇局面など)で実際にたびたび起きています。暴落のようにニュースになるわけではない分、体感としての頻度は低く感じられがちですが、「リーマン級の暴落に当たる確率」よりも「地味に成績が振るわない期間に当たる確率」の方が、実際には高いと見ておいた方が現実的です。3年・5年という投資期間で考えるなら、後者への備えの方が優先度が高いと言えるでしょう。

次の章で、この変化にどう気づき、どう対処するかを整理します。

3年を一つの区切りに、立ち止まって考える

ここまでのシミュレーションをボーナス投資「3年間」で区切ったのには理由があります。3年経過した時点で、月々のお小遣いはどのシナリオでもおおむね2万円台〜5万円弱に育っており、「お小遣いとして機能する金額」に到達しています。一方で元本の累計は180万円と、まだ生活への影響が大きくなりすぎる前の水準です。この規模感は、一度立ち止まって今後の方針を考えるのにちょうど良いタイミングだと言えます。

このタイミングでの選択肢は、大きく3つ考えられます。

  • ①そのまま同じ方針を継続する
    「楽観」「中立」シナリオのように運用が良好であれば、180万円の元本を保ったまま毎月のお小遣いを受け取り続けられますし、継続すればするほど口数が積み上がり、月々のお小遣いはさらに増えていきます。ただし前述のとおり、「緩やかな下落」シナリオでは、月々のお小遣いが増えているように見えても真の損益はマイナスという状態が続きます。継続する場合こそ、前章のチェックポイントでの定点観測が欠かせません。
  • ②ハイリスク+低リスクの毎月分配に組み替える
    3年間で得られた分配金や、追加で投じる予定だった資金の一部を、値動きの穏やかな低リスクの毎月分配型ファンドに振り分け、残りは引き続き高リスク・高リターンのファンドに置いておく、という組み合わせも検討できます。値動きの大きいファンド単体で運用し続けるより、下落局面での目減りを和らげやすくなります。
  • ③一度立ち止まって全体を振り返る
    ここまでの3年間で、基準価額が個別元本を上回り続けているか、月次レポート上で特別分配金が計上されていないか、分配方針の見直しがなかったかを確認し、そもそもこのファンドを継続するかどうかから見直すタイミングにする、という選択肢です。継続・組み替え・出口のいずれを選ぶにしても、「3年に一度は棚卸しする」という習慣自体が、ハイリスクな資産を持ち続けるうえでの一番の安全策になります。

リスクに早めに気づくための3つのチェックポイント

「あえてハイリスクを取る」戦略でも、致命傷を避けるための最低限の点検はしておきたいところです。難しい相場予測をしなくても、次の3点だけは定期的に確認できます。

  1. 基準価額が自分の取得価格を上回っているかを確認する
    証券会社の保有商品画面には、自分が買ったときの平均取得単価(個別元本)が表示されています。分配金決算のたびに、現在の基準価額がこの個別元本を上回っているかを見るだけで、今受け取っている分配金が「運用益からの普通分配金」なのか「元本の払い戻しである特別分配金」なのかの目安になります。
  2. 月次レポートの分配金の内訳を見る
    運用会社が毎月発行する月次レポートには、その回の分配金のうち「利益からの部分」と「元本払戻金の部分」の内訳が記載されています。ここに元本払戻金が計上される月が数か月続くようであれば、分配方針の見直しや積立の一時停止を検討するサインになります。
  3. 「据え置き」に違和感を持つ
    基準価額が下がっているのに月々の分配額が変わらない状態が3〜4か月以上続いている場合は要注意です。前述のシミュレーションが示すとおり、これは急な暴落よりも気づきにくく、じわじわと真の損益を悪化させます。

なお、今回のようにボーナスのタイミングで年2回に分けて投資すること自体、すでに一括投資よりリスクを抑える工夫になっています(急落直後にも買い増しが入ることで、平均取得単価が下がりやすいため)。これに加えて、お小遣い用の資金であっても1本のファンドに全額を集中させず、複数の商品に分けておくと、上記のチェックポイントに引っかかったときの選択肢(一部だけ売却・積立停止など)を残しやすくなります。

ハイリスクに抵抗がある方へ:自分に合った選び方

ここまでは、すでにiDeCoやNISAで積立を行い、個別株投資もしていて、生活に少し余裕が出てきた方を想定し、「お小遣い」の分配利回りを最大化する方向で考え方を整理してきました。ただ、同じ「分配金をお小遣いにする」という発想でも、リスクの取り方にはいくつか選択肢があります。

  • 分配の頻度を下げる
    毎月分配ではなく、隔月・年3回・年2回・年1回といった頻度で分配を行うファンドも選択肢になります。分配のたびに基準価額が削られる回数自体が減るため、値動きが多少穏やかになる傾向があります。この頻度のファンドには、NISA成長投資枠で購入できる商品も多くあります。
  • ハイリスク・ハイリターンにこだわらない
    値動きの大きさよりも「市況に見合った、無理のない分配」を優先したいのであれば、同じ毎月分配型でも、より値動きの穏やかな運用方針のファンドを検討してみるのも一つの方法です。今回のシミュレーションはあくまで「あえてハイリスクを選ぶ」という前提での試算なので、その前提に抵抗がある方は、まずは値動きの落ち着いたタイプから試してみてください。
  • 少額から始めて感覚をつかむ
    いきなり30万円を投じるのではなく、5,000円や1万円といった少額から始めて、基準価額や分配金の動き方の感覚をつかんでから、徐々に投資額を増やしていくという始め方もあります。
  • 1本に集中させず、分散投資する
    最大のリスクヘッジは分散投資です。1つのファンドに資金を集中させるのではなく、いくつかの高配当・高分配ファンドに分けて出資することで、特定のファンドの分配方針変更や運用不振の影響を和らげることができます。
  • 証券口座を目的別に分ける
    将来の資産形成のための積立と、今回のようなお小遣い目的の投資を、あえて別々の証券口座で管理するのも分かりやすい方法です。口座を分けておけば、それぞれの評価額や損益を混同せずに把握でき、「お小遣い口座がどこまで悪化したら見直すか」といった判断もしやすくなります。

→ 【関連記事】投資信託の選定時の参考になればと用語集を作成しました。

【2026年7月】投資信託の銘柄名がスラスラ読める辞書 | ブランド編・用語編

投資信託の銘柄名を見て、「これって結局どういうファンドなの?」と感じたことはないでしょうか。 投資信託の名前は、実は次の2つの要素の組み合わせでできています。 このどちらも意味が分かれば、銘柄名を見ただけで「どの会社の、 […...

【2026年7月】投資信託の銘柄名がスラスラ読める辞書 | ブランド編・用語編

→ 【関連記事】分散投資のバリエーションはこちらに詳しく記載しています。

資産三分法は今も万能?現金・不動産・株式の古典理論vs現代版リスクヘッジの考え方

「資産三分法」という言葉を聞いたことがあっても、実際にどれくらい資産が守れるのか、数字で確認したことがある人は少ないのではないでしょうか。 本記事では、リーマンショックからコロナショック、そして直近の中東情勢まで、実際の […...

資産三分法は今も万能?現金・不動産・株式の古典理論vs現代版リスクヘッジの考え方

まとめ

  • 資産を増やす方法はキャピタルゲインとインカムゲインの2つ。「どうせ使う予定のお金だからこそ、あえてハイリスク・ハイリターンを選ぶ」という考え方自体は、浪費を減らす一つの工夫になり得る
  • ただし「分配金を使っても元本は減らない」が成立するのは、運用が好調で基準価額が下がらずに済んでいる間だけ。分配金には運用益からの「普通分配金」と、元本の払い戻しに当たる「特別分配金」があり、この違いを理解せずに毎月分配型ファンドを選ぶのはリスクは高いです。今回のポイントは、このリスクをどこまで受け入れられるかと、リスクを理解し早めに気付くためのチェックを怠らないことです
  • シミュレーションでは、真の損益(評価額+累計お小遣い-元本)が3年後にもっとも悪化したのは、暴落イベントのある「急落」シナリオ(▲約3万円)ではなく、暴落のない「緩やかな下落」シナリオ(▲約9万円)だった。警戒すべきは分かりやすい暴落よりも、基準価額が地味に下がり続けているのに分配額だけが据え置かれる状態
  • 個別元本と基準価額の比較、月次レポートの分配金内訳、据え置きへの違和感——この3点を定期的に確認することで、致命的な損失に発展する前に気づける可能性が高まる
  • 信託報酬・購入時手数料・NISA対象かどうかは、証券会社や商品ごとに異なるため、購入前に必ず自分の口座で確認する
  • 高い分配金利回りは、あくまで直近の好調な運用実績に支えられたものであり、将来も同じ利回りが続く保証はない
  • 繰り返しになりますが、今回のシミュレーションは分配率を据え置いた前提の試算であり、想定を超える急落・暴落が起きた場合はこの限りではありません。あえてハイリスクを取る戦略だからこそ、シミュレーションの範囲を超える下落が起きたときは、積立の一時停止や保有額の見直しなど、そのときの状況に応じた対応を早めに検討してください

※本記事は特定の金融商品や投資行動を推奨するものではなく、制度・仕組みの解説とシミュレーションの一例を示すものです。シミュレーションの数値はすべて仮定の試算であり、将来の運用成果を保証するものではありません。掲載した信託報酬・分配金実績・基準価額などの数値は、みんかぶ投信、ウエルスアドバイザー、SBI証券、あかつき証券の各公表情報(2026年7月時点)を参照して整理していますが、最新の数値・条件は各証券会社・運用会社の公式情報で必ずご確認ください。投資は元本割れを含むリスクを伴います。とくに本記事で扱ったような値動きの大きいアクティブファンドは、想定以上の急落や暴落が起こる可能性も否定できません。シミュレーションで示した下落幅を超える事態が起きた場合は、積立の一時停止・保有額の見直し・専門家への相談など、そのときの状況に応じた対応を検討してください。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。

→ 【人気記事】デイトレ vs ほったらかし投資、結局どっちが得?相場局面別にシミュレーションしてみた こちらもご参考に!

デイトレ vs ほったらかし投資、結局どっちが得?相場局面別にシミュレーションしてみた

「デイトレとほったらかし投資、結局どちらが最終的な利益は大きくなるのか」という疑問について、Pythonで簡易的な価格シミュレーションを組んで比較してみました。前提を置いた上での試算なので絶対的な答えではありませんが、相 […...

デイトレ vs ほったらかし投資、結局どっちが得?相場局面別にシミュレーションしてみた

→ 【人気記事】FIREは1億円で本当にできるのか?目的別に「あなたのFIREタイプ」を整理してみた こちらもご参考に!

FIREは1億円で本当にできるのか?目的別に「あなたのFIREタイプ」を整理してみた

「FIREって、結局いくらあれば実現できるの?」 FIREについて調べると、「1億円あればFIREできる」という話をよく見かけます。 しかし、実際には1億円で実現できるFIREと、2億円・3億円で実現するFIREでは、生 […...

FIREは1億円で本当にできるのか?目的別に「あなたのFIREタイプ」を整理してみた
松井証券